電子工作教材ちょこまカーの極意を伝授

光センサーと明暗差信号

 

ちょこまカーの光センサーはCdS

物質は電気的性質に着目すると、電流が良く流れる導体(金属、黒鉛、水など)と流れない不導体または絶縁体(空気、ガラス、プラスチックなど)と、それらの中間の性質を持つ半導体(シリコン、ゲルマニウム、硫化カドミウムなど)に分けられます。 半導体は温度が高いほど電流を流しやすくなります(電気抵抗が下がります)。また光が当たると電気抵抗が下がる性質があります。ちょこまカーの光センサーは半導体の一種である硫化カドミウム(化学記号はCdS)でできていて、光が当たると電気抵抗が下がる性質を利用しています。 光で電気抵抗が変化する素子(個々の電子部品を素子と呼びます)を「光抵抗素子」と呼びます。またCdSを使った光抵抗素子は「CdSセル」とも呼びます。

写真:CdSセルの例

CdSセルの回路記号は抵抗器に長丸を付けたもので、ジグザグは抵抗器の記号です。実際のCdSセルには茶色のジグザグ構造が見えますが、回路記号のジグザグとは意味が違います。 CdSセルでは左右の白っぽい部分が電極なので、電流は茶色のジグザグに対して横方向に流れます。

図:光抵抗素子の回路記号

※カドミウムは毒性のある物質なのでCdSセルの使用はEUでは規制されていますが日本では規制されていません。CdSセルは透明樹脂でコーティングされているのでそのままでは安全ですが分解しないでください。 廃棄されたCdSセルからカドミウムが溶け出す可能性があるので、世界的に光センサーはフォトダイオードに置き換えが進んでいます。 しかし、フォトダイオードとCdSセルでは性質が全然違うので、フォトダイオードを使うとちょこまカーの回路はもっと複雑になってしまいます。

下の動画はちょこまカーの光センサー(CdSセル)に1.5 Vの電池を接続したときに流れる電流を電流計で測定しているところです。 お皿でCdSセルに入る光をさえぎると電気抵抗が増えるので電流が減ります。


明暗差信号を作る

ちょこまカーでは次のようにして明暗差信号を作っています。2個の光センサーを直列に接続し、電源電圧(乾電池1個分1.5 V)をその2つの抵抗で「分圧」します。この回路は明るさの差を電圧信号に変換してくれます。

図:光センサーによる分圧

右下の白い▽は、ここをアース(接地・グランドとも言います)にすることを意味しています。今後ちょこまカーの回路図ではここ、つまり電池のマイナス側を基準に電圧を測定することにします。

照明が明るいと左右(回路図では右側が上、左側が下)の2つの光センサーの両方とも抵抗が下がります。逆に照明が暗ければ左右2つの光センサーの両方とも抵抗が上がります。 明暗差信号は左右両方の光センサーが両方とも明るくなったり暗くなったりしたときは変化せず、左右の明るさに差ができたときだけ変化しなければいけません。分圧点の電圧は両方の光センサーが明るくなったり暗くなったりしても変化しません。

図:左右の明暗と分圧点の電圧

下側の抵抗が高いと分圧点の電圧が上がり、上側の抵抗が高いと分圧点の電圧が下がるという現象を、手っ取り早く水の回路でイメージしてみましょう。イメージするだけなら極端な場合を想定するとイメージしやすいです。

図:水回路による分圧のイメージ

上の図では、下側の水抵抗が非常に高くなっています。極端に高い抵抗というのはパイプがほとんどつまっている状態です。水圧計Bの圧力がほとんど水圧計Aの圧力と同じになるのはイメージできますね。逆に上側の水抵抗が非常に高い場合は、水圧計Bの圧力はほとんどゼロに成なるというのもイメージできると思います。
 分圧をきちんと式で解くには下の図のようにします。

図:分圧の求め方

まず2つの直列になった抵抗全体の抵抗値と電源電圧から電流を求め、次にその電流がそれぞれの抵抗に流れた時に発生する電圧を計算します。計算結果のR1/(R1+R2)などは覚えておくと便利です。
 式からわかるように、たとえばR1とR2が両方2倍になった場合、2R1/(2R1+2R2)=R1/(R1+R2)なので、分圧は変化しません。

明暗差信号が2つのセンサーの明るさで変化する様子を動画で見てみましょう。

オシロスコープはスケールのいちばん下が0 V、いちばん上が1.5 Vになるように調節してあります。スプーンで片方のセンサーの光をさえぎると出力電圧が変化します。出力電圧が完全に0 Vや1.5 Vにならないのは、光を完全にさえぎることができていないからです。
 ちょこまカーに使っているCdSセルは白いセラミックに硫化カドミウムをコーティングして作ってありますが、裏側から来る光もセラミックを通って硫化カドミウムの層に入ってしまいます。 そのため太陽光線が直接当たるような場所でちょこまカーを走らせようとするときは、黒いマジックペンなどで裏側(リード線が生えている側)を黒く塗りつぶしておく方がいいと思います。
 ところで、もし両方のセンサーの抵抗値が同じならば、出力電圧は真ん中の0.75 Vになるはずですが、上の動画で両方の光センサーに光が当たっている時は0.75 Vより少し低い電圧が出力されています。 これは2つの光センサーの特性が違うからです。ちょこまカーでは光センサーの特性の差はトリマー抵抗器である程度補正できます。 しかし、CdSセルの特性にはかなりのばらつきがあるので、なるべく特性の合ったCdSセルを組み合わせて使わなければなりません。詳しくは光センサーの入手を見てください。

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