電子工作教材ちょこまカーの極意を伝授

電流と流量・電圧と水圧

 

高圧電流?

「牛が逃げないようにフェンスには高圧電流が流してあります」というような表現を見かけますが、これは電流と電圧をごちゃ混ぜにしたひどい間違いです。その違いは水回路をイメージすれば自然とわかります。

電流と流量

「電流」という用語は厳密に言うと2つの使い方があります。まず電気の流れという意味があり、その場合には水回路で対応するのは「水流」という用語がいいでしょう。
 また「電流」という用語は電気の流れの強さを表すのにも使われます。その単位がアンペア(A)です。電流の正体は電子が移動することです(正確に言えば電子でなくても「電荷」という性質を持つ粒子が移動すると電流になります)。 電荷にはクーロン(C)という単位があります。電流1アンペアというのは、1秒の間に1クーロンの電荷が通過する電流の大きさです。

図:1アンペアの定義

この場合の「電流」に対応する水回路の用語は「流量」です。流量というのは単位時間(1秒とか1時間)あたりに通過する水の量のことです。電流の定義とそっくりですね。
 水の量は体積で表す場合(体積流量)と質量で表す場合(質量流量)があります。したがって単位は体積流量では[m3/秒][リットル/分]など、質量流量では[kg/秒][トン/時]などとなります。下の図は同じ体積流量でもパイプの太さで流速は違うことを表しています。 流れの速い川で遊んではいけない、というように流速そのものが問題になる場合もありますが、水を利用する目的がある場合は流量の方が便利ですよね。

図:流量と流速

電圧と水圧

電気回路の電圧と水回路の水圧が対応するのは説明する必要はないでしょう。
 水回路を理解する上ではほとんど必要ありませんが、ついでに水圧の単位の話だけしておきます。圧力と言ってもいいのですが電圧との対応が良いので水圧と言うことにします。圧力の単位は非常に種類が多いですが基本的に「単位面積あたりにかかる力」で表現します。単位面積というのは1平方メートルとか1平方センチメートルとか1平方インチということです。 力の方はニュートンとかkgWとかポンドなどが使われるため、いろんな組み合わせができてしまい、圧力の単位がいくつも存在します。
 そのうち、現在科学の分野で最も使われているのがパスカル(Pa)という単位です。1平方メートルあたり1ニュートンの力がかかる圧力は1ニュートン/平方メートルですが、それを1パスカルと呼ぶことにたのです。天気予報で台風の中心の気圧が980ヘクトパスカルなどと言います。ヘクトパスカルというのは100分の1パスカルのことです。 大気圧はだいたい1000ヘクトパスカル(10パスカル)程度、言い換えると1平方センチメートルあたり1kgW(kg重とも書きます)程度です。
 ここまでは水でも空気でも同じ圧力の単位ですが、水を扱うポンプの圧力を表す「揚程」という言い方があります。これは水を何メートルまで持ち上げられるかという意味で、揚程20メートルというような使い方をします。

大電流・高電圧

電流の量の大小は普通、電流が大きい(小さい)というように表す場合が多いです。大電流とは言いますが高電流とは言いません(なぜかわかりませんが低電流というのはたまに見かけます)。
 電圧の量の大小は、電圧が高い(低い)というのがいちばん一般的です。電圧が大きい(小さい)という表現もあります。
 ところで「牛が逃げないようにフェンスには高圧電流が流してあります」というのはなんでおかしいのでしょうか。電流に高圧という形容詞がついているのはおかしいですね。それに実際フェンスに電流を流す必要はありません。高い電圧を「かける」(または「印加」するといいます)だけでいいのです。
 正しく言うなら「牛が逃げないようにフェンスには高電圧がかけてあります」と言います。牛がフェンスにさわるまではフェンスと地面の間に電圧が「印加してある」だけで、フェンスと地面の間に電流が流れる通路はありません。 フェンスに牛がさわると牛がフェンスと地面をつなぐ電流の通路になり、牛の体に電流が流れるのでビリっとしびれるのです。

図:高圧電流の柵?



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